資産とその価値 一歩くわしく
減損の兆候げんそんのちょうこう
この段階では、損失の金額はまだ決まらない
ひとことでいうと
減損の兆候は、固定資産の金額を回収しにくそうだ、という合図で、この段階では損失額はまだ決まりません。
別館の赤字は、点検を始める合図
温泉旅館の別館が、何年も赤字だとします。建物の帳簿にはまだ大きな金額が残っています。減損の兆候は、「このままの金額を回収できるか、本判定に進む」という合図です。赤字が出た瞬間に、損失の金額が決まるわけではありません。
可能性を示す出来事があれば、判定に進む
固定資産の減損に係る会計基準は、資産または資産グループに減損が生じている可能性を示す事象がある場合に、減損損失を認識するかどうかの判定を行う、と定めています。内部の損益報告や経営計画、経営環境や市場価格などの情報に基づいて識別します。
兆候は、減損損失そのものではありません。次の減損損失の認識で、割引前の将来キャッシュ・フロー合計が帳簿を下回るかどうかを見ます。
共用の設備も、グループの話になる
別館だけを見るのか、旅館全体で見るのかは、資金の流れのまとまり方によります。共用資産の扱いが絡むことがあります。
赤字でも、この段では仕訳しない
図2は手順の説明用です。兆候あり→認識の判定→測定、と進みます。兆候だけの段階では、減損損失の仕訳はまだありません。
市場価格の著しい下落、用途の廃止計画なども、兆候になり得ます。この記事は金額例を置かず、段階の違いを示します。
実務ではここに注意
どの単位で兆候を見るか、本社費の配分、翌期に業績が戻った場合でも戻入れしない取扱いなど、本判定の細部は減損損失の記事側です。別館の赤字は説明用です。
ここまでのおさらい
減損の兆候は、固定資産の回収が怪しくなった判定の合図です。この段階では損失額は決まりません。
出典と確認状況
説明の範囲
日本基準の入門。減損基準のうち兆候。認識の数値判定、測定、共用資産の配分計算は対象外。
- 企業会計審議会:固定資産の減損に係る会計基準減損損失の認識と測定(1)減損の兆候:資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象がある場合に、減損損失を認識するかどうかの判定を行う。内部の損益報告や経営計画、経営環境や市場価格などの情報に基づき識別。
公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み
温泉旅館の別館は場面の説明用。兆候の該否、グルーピングは未判定。仕訳なし(兆候だけでは損失が確定しないため)。
一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。