前払費用まえばらいひよう

継続的な契約にもとづき、まだ受けていないサービスに対して先に支払った対価

ひとことでいうと

前払費用は、継続的な契約にもとづき、まだサービスの提供を受けていない期間の対価を先に支払ったものです。次期以降の費用になる分を、当期の費用から除いて資産に計上します。

まだ受けていないサービスの分だけ、資産として残す

1年分の保険料をまとめて払うと、決算日の時点では、まだこれから先の期間の保障が残っています。この「まだ受けていない保障」に対応する金額は、支払い済みでも当期の費用にはせず、前払費用として資産に残しておきます。

1年分の保険料のうち、決算日以降のまだ保障を受けていない期間分を前払費用として資産に計上する図。
図1 まだ先の期間の分は、資産として残します。

まだ提供を受けていない分は、費用にしない

前払費用とは、企業会計原則注解5にもとづき、一定の契約に従って継続してサービス(役務)の提供を受ける場合に、まだ提供されていない役務に対して支払われた対価をいいます。1年分の保険料や家賃を先にまとめて支払う場合などが代表例です。

これらの対価は、時間の経過とともに次期以降の費用となるものなので、支払った時点ではなく、実際にサービスの提供を受けた期間に応じて費用にします。まだ提供を受けていない分は、当期の損益計算から除き、貸借対照表の資産の部に前払費用として計上します。

前払金とは、区別して記録する

前払金は、商品の購入代金の一部を、商品を受け取る前に手付金として支払うような、個別の取引から生じる前払いです。これに対して前払費用は、継続的な契約にもとづき、時間の経過に応じて費用になっていくものです。企業会計原則注解5でも、前払費用は役務提供契約以外の契約による前払金とは区別しなければならないとされています。

花屋が1年分の保険料12万円を支払い、決算日時点で未経過の8か月分8万円を前払費用に振り替える図と仕訳。
図2 未経過の期間分を、前払費用に振り替えます。

花屋の保険料を計算してみる

図2は、花屋が1年分の火災保険料12万円を、12月1日にまとめて支払った例です。決算日を3月31日とすると、支払った時点から決算日までの4か月分(4万円)はすでに保障を受けた期間の費用ですが、決算日の翌日から11月末までの8か月分(8万円)は、まだ保障を受けていない期間です。

そこで決算では、いったん保険料として計上した12万円のうち、まだ保障を受けていない8万円を取り崩し、前払費用として資産に振り替えます。この結果、当期の費用になるのは4万円だけになります。

仕訳で確かめる

花屋が決算時に、保険料の未経過分8万円を前払費用へ振り替えたとき(単位:円)
借方金額貸方金額
前払費用80,000保険料80,000

ここまでのおさらい

前払費用は、継続的な契約にもとづき、まだサービスの提供を受けていない期間の対価です。個別の取引から生じる前払金とは区別しましょう。

出典と確認状況

説明の範囲
日本基準の入門解説。企業会計原則注解5にもとづく前払費用の考え方、前払金との違いを扱う。長期前払費用の詳細な取扱いは対象外。

  • 企業会計原則注解注5(1):前払費用は、一定の契約に従い継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいい、役務提供契約以外の契約等による前払金とは区別する

公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み

花屋の保険料の金額・支払時期・決算日は説明用の仮定です。長期前払費用への区分の詳細は未判定です。

一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。

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