売上・在庫・固定資産 きほん
売上原価うりあげげんか
実際に売れた商品分だけを表す原価
ひとことでいうと
売上原価は、実際に売れた商品の分だけの仕入原価や製造原価を表す金額です。売れ残っている分は含まれません。
売れた分だけを取り分ける考え方
7個のお花を仕入れて、そのうち4個が売れたとします。かかった費用のうち、売れた4個分だけを売上原価として計算し、残り3個分は、まだ売れていない棚卸資産として残します。
仕入れた全部ではなく、売れた分だけ
花屋が商品を仕入れても、仕入れた金額がそのまま全部その月の費用になるわけではありません。仕入れた商品のうち、実際に売れた分に対応する金額だけが費用として売上原価に計上されます。売れ残った分は、棚卸資産として資産に残ります。
この考え方があるおかげで、損益計算書ではその期間に売れた分の儲けを正しく計算できます。仕入れた金額をそのまま費用にしてしまうと、売れ残りの分まで費用にしてしまい、儲けを正しく把握できません。
期首・仕入・期末の3つの数字から計算する
売上原価は、期首棚卸高+当期仕入高-期末棚卸高という式で計算します。月の初めにあった在庫に、その月仕入れた分を足し、月末に残っている在庫を引くことで、その月に売れた分の原価だけを取り出すことができます。
花屋2か月目の売上原価を計算する
図2では、花屋2か月目の売上原価を計算しています。月初の棚卸資産は25万円、月中の仕入は30万円でした。月末に残っている棚卸資産は15万円です。25+30-15を計算すると、売上原価は40万円になります。
この40万円が、売上高70万円から差し引かれ、売上総利益30万円を計算するもとになります。売上原価は、仕入れた時点ではなく、決算のときに在庫の数量をもとに計算し直す点が特徴です。
間違えやすい点:仕入高=売上原価ではない
仕入高と売上原価を同じ意味だと考えてしまうと、計算がずれてしまいます。仕入高は、その月に買った金額の合計であるのに対し、売上原価は、期首の在庫も含めて実際に売れた分だけを取り出した金額です。この記事の例では、期首棚卸高25万円+仕入高30万円-期末棚卸高15万円=売上原価40万円となります。もし仕入高30万円だけを費用にしてしまうと、売上原価より少なく計上することになり、期首に在庫がなく期末に在庫が残る場合は逆に過大になります。仕入高と売上原価のどちらが大きくなるかは、期首と期末の在庫の量によって変わります。
この記事では、個別法や先入先出法といった、在庫の評価方法の違いには触れていません。実際には、どの評価方法を使うかによって、期末棚卸高や売上原価の金額が変わる場合があります。
仕訳で確かめる
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 25 | 繰越商品 | 25 |
| 繰越商品 | 15 | 仕入 | 15 |
ここまでのおさらい
売上原価は、実際に売れた商品分の原価で、期首棚卸高+当期仕入高-期末棚卸高で計算します。仕入高そのものとは異なる点に注意しましょう。
出典と確認状況
説明の範囲
日本基準の入門解説。花屋2か月目の在庫の動きを例に、売上原価の計算式と決算整理の考え方を扱う。個別法・先入先出法・平均原価法などの評価方法の使い分けは対象外。
- 企業会計原則(損益計算書原則)第二 三のC:売上原価の表示方法(期首・仕入・期末の計算式)
- 企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」第6-2項:売上原価等の払出原価と期末棚卸資産の価額を、個別法・先入先出法・平均原価法(総平均法・移動平均法)・売価還元法の中から選択した方法で算定する旨(後入先出法は2008年改正により選択肢から除外され、現在は認められていない)
公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み
花屋の数値は説明用の仮定です。個別法・先入先出法・平均原価法などの評価方法の選択、原価差額の処理は未判定です。
一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。