売上・在庫・固定資産 きほん
棚卸資産たなおろししさん
販売するために持っている、まだ売れていない商品
ひとことでいうと
棚卸資産は、販売するために持っている、まだ売れていない商品や原材料のことです。
お店の棚に並ぶ、売る前の商品
花屋の棚に並ぶ、まだ売れていないお花を思い浮かべてください。お客さんに売るために持っているけれど、まだ売れていないこの状態の商品が、棚卸資産です。
売るために持っている、売れる前の状態
花屋が仕入れたお花は、お客さんに売れるまでの間、資産の一種である棚卸資産として記録されます。棚卸資産は、現金のようにすぐ使えるお金ではありませんが、いずれ売れてお金に変わることが期待される資産です。
棚卸資産には、花屋の商品(お花)のほかに、製造業の原材料、仕掛品(作りかけの製品)、完成した製品なども含まれます。共通しているのは、販売するために、あるいは販売する物を作るために持っているという点です。
固定資産との違いは「売るためかどうか」
同じ持ち物でも、花屋が配達に使う車(固定資産)と、売るためのお花(棚卸資産)は会計上の扱いが違います。固定資産は長く使うために持つ物、棚卸資産は売るために持つ物という違いがあります。同じ車でも、中古車販売店にとっては、販売用の車は棚卸資産になります。
棚卸資産の残高は、仕入れと販売で動く
図2では、花屋2か月目の棚卸資産の残高の動きを示しています。月初の棚卸資産は25万円でした。月の中で30万円分を仕入れると、棚卸資産は一時的に増えます。
その後、お花が売れるたびに、売れた分の金額が棚卸資産から売上原価へ移っていきます。月末に残った棚卸資産は15万円です。棚卸資産の残高は、仕入れで増え、販売で減るという動きを繰り返します。
実際の帳簿では、販売のたびに棚卸資産を直接減らすのではなく、いったん「仕入」という費用の科目に記録しておき、決算のときに期首・期末の在庫をまとめて振り替える三分法という方法がよく使われます。図2は在庫という資産の経済的な動きを示したものです。下の仕訳例は、三分法による仕入時の記録です。期首・期末の在庫の振替は決算時に行います。
間違えやすい点:棚卸資産が多いことは良いことばかりではない
棚卸資産がたくさんあると、売る物が豊富にあるように見えるかもしれません。しかし、売れずに残った棚卸資産が多すぎると、保管の負担が増えたり、お花のように傷んで価値が下がったりすることがあります。棚卸資産の量は、売れ行きに見合っているかどうかで判断する必要があります。
また、決算のときには、実際に棚を数える実地棚卸を行い、帳簿上の数量と実際の数量が合っているかを確認します。この記事では、実地棚卸の具体的な手順や、時価が下落した場合の評価替えについては扱っていません。
仕訳で確かめる
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 30 | 現金 | 30 |
ここまでのおさらい
棚卸資産は、販売するために持っている、まだ売れていない商品や原材料です。仕入れで増え、販売で売上原価へ移ることで残高が動きます。
出典と確認状況
説明の範囲
日本基準の入門解説。花屋の商品(お花)を例に、棚卸資産の意味と残高の動きを扱う。原材料・仕掛品を持つ製造業特有の論点、評価方法の選択は対象外。
- 企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」第7項:通常の販売目的で保有する棚卸資産の評価基準
- 企業会計原則(貸借対照表原則)第三 四(一)A:たな卸資産の流動資産への分類
公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み
花屋の数値は説明用の仮定です。実地棚卸の具体的な手順、正味売却価額の下落による評価替え、原材料・仕掛品を持つ製造業特有の論点は未判定です。
一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。