資産とその価値 もう一歩
のれんのれん
会社や事業を買うとき、資産から負債を引いた価値に上乗せした金額
ひとことでいうと
のれんは、会社や事業を買うとき、引き継ぐ財産から借金などを引いた価値より、多く払った分です。
「お店の看板」に払う、資産以上の価値
書店が同業の人気店の事業を譲り受けるとき、そのお店の設備や在庫だけの価値以上のお金を払うことがあります。長年の評判やお客さんとのつながりといった、帳簿には載らない価値に対して余分に払った金額が、のれんです。
買った金額と、引き継いだものの価値との差
たとえば、書店の事業を100万円で買い、引き継いだ設備や在庫などの価値が80万円だったとします。この例では借金などを引き受けないため、差の20万円が「のれん」です。元のお店の帳簿の金額を、そのまま使う計算ではありません。
一般には、買った金額を引き継ぐ資産や負債へ割り振り、その差し引きの価値を超えて払った分をのれんとします(第21号第31項)。評判やお客さんとのつながりなどが関係することもありますが、「評判だけの値段」を直接測ったものではありません。
のれんは、形のない資産である「無形固定資産」として、貸借対照表に記録します(第47項)。
20年以内の期間で、規則的に償却する
同基準第32項では、のれんは資産に計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却すると定められています。ただし、金額に重要性が乏しい場合には、発生した事業年度の費用として処理することもできます。償却額は、販売費及び一般管理費の区分に表示します。
書店の買収を例に考える
図2は、書店が同業のお店の事業を100万円で譲り受けた例です。話を単純にするため、引き受ける負債はなく、譲り受けた設備や在庫などの識別可能な資産の時価の合計(純額)が80万円だったとします。買収金額(取得原価)100万円との差額20万円が、のれんとして計上されます。
このお店の効果が10年間続くと見積もった場合、20万円を10年で割った2万円を、毎年のれん償却費として計上します。のれんの帳簿価額は、償却が進むにつれて少しずつ減っていきます。なお、株式を取得して子会社化する場合は、買収した会社(親会社)個別の帳簿ではのれんは生じず、関係会社株式として取得価額のまま計上され、のれんは連結財務諸表を作るときに初めて計算・計上されます。本記事では、事業そのものを譲り受ける場合(事業譲受)を例にしています。
仕訳で確かめる
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 諸資産 | 800,000 | 現金 | 800,000 |
| のれん | 200,000 | 現金 | 200,000 |
ここまでのおさらい
のれんは、引き継ぐ資産から負債を引いた価値を超えて払った分です。日本基準では、原則として効果が続く期間に分けて費用にし、その期間は20年以内とします。
出典と確認状況
説明の範囲
日本基準の入門解説。企業会計基準第21号にもとづくのれんの発生理由、償却方法、表示区分を扱う。負ののれん、税務上の資産調整勘定の詳細は対象外。
- 企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」第31項・第32項・第47項第31項:のれんの発生理由。第32項:20年以内の期間で規則的に償却する。第47項:のれんは無形固定資産の区分に表示し、償却額は販売費及び一般管理費の区分に表示する。
公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み
書店の事業譲受金額100万円・識別可能資産の時価80万円・償却期間10年は説明用の仮定です。負ののれん、株式取得(子会社化)時の連結手続における個別的な計算方法、税務上の資産調整勘定の詳細は対象外。
一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。