記録と財務諸表 もう一歩
持分法もちぶんほう
投資先の儲けや損失の一部を、グループの決算に取り込む方法
ひとことでいうと
持分法は、出資先の会社の儲けや損の一部を、自社の決算にも取り込む方法です。
全部を合算せず、自分の取り分だけ投資額に反映する
運送会社が、取引先の会社の株式を25%持ち、経営方針の決定に大きな影響を与えられるとします。この例では、その会社が稼いだ儲けの25%分を、グループの決算書に取り込みます。相手の売上や資産を全部足すのではなく、帳簿上の投資額と利益を調整するのが持分法です。
出資先の儲けを、自社の決算にも取り込む
出資先が利益を出したら、自社の取り分に当たる金額を、帳簿上の投資額に足します。損失なら引きます。追加でお金を出すのではなく、グループ全体の決算書を作るときの金額調整です。第16号第4項が、この方法を定めています。
主な対象は、経営方針を自分で決めるほどではなくても、その決定に大きな影響を与えられる会社です。これを「関連会社」と呼びます。株主総会で賛否を決める権利(議決権)の20%以上を持つ場合などが目安ですが、割合だけで自動的に決まるわけではありません(第5項・第5-2項)。
連結決算とは、まとめ方が異なる
連結決算では、子会社の資産・負債・売上・費用のすべてを親会社の財務諸表に合算します。これに対して持分法では、関連会社の個々の資産や売上を合算せず、関連会社が稼いだ利益のうち自社の持分に応じた金額だけを、投資の額に加減します。合算の範囲が異なる点が、連結決算との大きな違いです。
持分法は、連結決算とは別の独立した処理ではなく、連結財務諸表を作るときに行う調整のひとつです。運送会社(投資会社)自身の個別の帳簿・個別財務諸表では、関係会社株式の金額は取得原価のまま変わりません。持分法による投資額の増減は、連結財務諸表を作成する際にだけ反映されます。
運送会社の関連会社を例に考える
図2は、運送会社が仕入先の会社の議決権を25%持ち、関連会社として持分法を適用する例です。この関連会社の当期純利益が40万円だったとすると、運送会社の持分25%に応じた10万円を、連結財務諸表を作るときに、運送会社が持つ投資額(関係会社株式)に加算する調整を行います。
関連会社が損失を出した場合は、逆に持分に応じた分だけ投資額を減らします。持分法は、関連会社の業績を、連結財務諸表上の投資額の増減という形で反映させる仕組みです。
仕訳で確かめる
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 関係会社株式 | 100,000 | 持分法による投資利益 | 100,000 |
ここまでのおさらい
持分法は、出資先の儲けや損のうち自社の取り分を、グループの決算書に取り込む方法です。この調整だけで現金が増えたり、会社単独の帳簿が書き換わったりするわけではありません。
出典と確認状況
説明の範囲
日本基準の入門解説。企業会計基準第16号にもとづく持分法の定義、関連会社の判定基準(議決権20%以上を中心とする考え方)を扱う。のれんに相当する差額の計算等、詳細な処理は対象外。
- 企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」第4項・第5項・第5-2項第4項:持分法とは、投資会社が被投資会社の資本及び損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて、その投資の額を連結決算日ごとに修正する方法。第5項:関連会社の定義。第5-2項:他の企業の議決権の20%以上を自己の計算において所有している場合等に重要な影響を与えることができると判定される。
公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み
運送会社の関連会社への出資割合25%・当期純利益40万円は説明用の仮定です。のれんに相当する差額の計算、未実現利益の消去など詳細な処理は対象外。
一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。