収益性の低下しゅうえきせいのていか

残っている商品の見込みが、仕入れた金額を下回るとき

ひとことでいうと

収益性の低下は、在庫を売って回収できる見込みが、仕入れた金額を下回っている状態です。

季節が過ぎて、仕入値では売れない

和装店が、浴衣を18万円で仕入れたとします。季節が過ぎ、今売ると正味で12万円にしかならない見込みです。まだ捨ててはいませんが、18万円のまま在庫にしておくと、回収できない6万円が隠れたままです。この見込みの下がり方が、収益性の低下です。

和装店の浴衣が仕入値ほど売れなくなった収益性の低下の入口を示す図。
図1 売れる見込みが、仕入値を下回ることがあります。

売って回収できる額まで、帳簿を下げる

棚卸資産の評価に関する会計基準は、通常の販売目的で保有する棚卸資産について、期末の正味売却価額が取得原価より下落している場合は正味売却価額とし、差額は当期の費用とする、と定めています。

正味売却価額は、売値の見込みから、売るためにまだかかる費用を引いた額です。この切下げが、簿価切下げと呼ばれる処理です。

売れ残った、だけでは足りない

店頭に残っていること自体が、ただちに収益性の低下ではありません。仕入値を回収できる見込みがあるかどうかが分岐です。

取得18万円と正味売却価額12万円の差6万円を当期の費用とする図。
図2 下がった差額は、その期の費用にします。

18万円が12万円になった差の6万円

図2は説明用です。取得原価18万円、正味売却価額12万円、差額6万円を当期の費用にします。残った棚卸資産は12万円です。単位は万円。

費用の科目は会社の表示によりますが、売上原価に含めることがよくあります。

実務ではここに注意

見積売価と、売るためにかかる費用の置き方で金額が変わります。翌期に見込みが戻ったときの戻入れの要否、税務上の評価損の認否は、この6万円の例だけでは決まりません。

仕訳で確かめる

浴衣の帳簿を正味売却価額まで下げるとき(単位:万円)
借方金額貸方金額
売上原価6万円棚卸資産6万円

ここまでのおさらい

収益性の低下は、在庫を売って回収できる見込みが仕入値を下回った状態です。差額はその期の費用です。

出典と確認状況

説明の範囲
日本基準の入門。第9号の通常の販売目的の棚卸資産。原材料の再調達原価による例外の細部は対象外。

公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み

和装店の18万円・12万円は説明用。税務上の評価損の認否は未判定。

一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。

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