資産とその価値 一歩くわしく
繰延税金資産の回収可能性くりのべぜいきんしさんのかいしゅうかのうせい
見込みがなければ、税金が減る効果を資産にしない
ひとことでいうと
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金の支払いが減る見込みがある範囲だけを資産として残す考え方です。
将来の税金が軽くなる見込みが、資産の上限
眼鏡店が、会計では費用にしたのに税務ではまだ認められないズレを持っているとします。将来そのズレが解消すると、税金が軽くなる見込みがあります。その見込みをいまの資産にするのが繰延税金資産です。回収可能性は、その見込みが本当に使える範囲だけを資産に残し、使えない分は載せない、という上限の考え方です。
軽減できると認められる範囲だけ
税効果会計では、将来の税金が減る効果を資産にできます。ただし、その効果を使えると認められる範囲に限ります。企業会計基準適用指針第26号は、会計と税務のズレや繰り越した欠損について、将来の税金の負担が軽くなる効果があるかどうかを見る、と定めています。見る材料は、将来の稼ぎの見込み、税金の計画、将来増える側のズレです。軽減できると認められる範囲だけを資産に残し、それを超える額は載せません。
既存の繰延税金資産の記事と同じ向きです。将来の課税所得の見込みや、ズレが解消する時期のスケジュールが要点になります。
節税商品ではない
税金を減らす作戦の名前ではありません。すでに生まれている会計と税務のズレについて、将来使えるかを見る話です。繰越欠損金がある場合も、将来の利益で使える見込みが論点になります。
見込みあり6万円、見込みなしは載せない
図2は説明用です。税率を掛けて計算した効果が9万円あっても、使える見込みが6万円までなら、資産は6万円です。残る3万円は資産にしません。単位は万円。税率30%などの算式は、税効果会計の記事側の仮定です。
見込みが変われば、翌期に取り崩すこともあります。
実務ではここに注意
スケジューリング、課税所得の見積り、繰越期限は個別です。6万円と9万円は説明用です。
仕訳で確かめる
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 繰延税金資産 | 6万円 | 法人税等調整額 | 6万円 |
ここまでのおさらい
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金が減る見込みがある範囲だけを資産として残す考え方です。
出典と確認状況
説明の範囲
日本基準の入門。適用指針第26号第6項・第7項の回収可能性の入口。会社分類表、税率の算式は対象外。既存の繰延税金資産記事と矛盾させない。
- ASBJ:企業会計基準適用指針第26号第6項:将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の回収可能性は、(1)収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得、(2)タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得、(3)将来加算一時差異、に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかを判断する。
- ASBJ:企業会計基準適用指針第26号第7項:第6項の判断の結果、税金負担額を軽減することができると認められる範囲内で計上し、その範囲を超える額については控除する。
公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み
眼鏡店の6万円・9万円は説明用。会社分類やスケジューリングの該否は未判定。類型表の詳説はこの入門の対象外。
一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。