個別法こべつほう

同じ種類でも、個体ごとの仕入値をそのまま残す

ひとことでいうと

個別法は、在庫を一つずつ区別し、それぞれ実際にかかった金額で残りの金額を決める方法です。

この椅子の値段は、この椅子の仕入値

家具工房が、椅子Aを12万円、椅子Bを15万円で仕入れたとします。期末に残ったのがBだけなら、残った在庫は15万円です。AとBを平均したり、先に入れた方から減らしたりしません。個体の実際の金額を追うのが個別法です。

家具工房で、椅子ごとに仕入値を追う個別法の入口を示す図。
図1 一点ずつ、実際の金額で数えます。

区別して記録し、実際原価で残す

棚卸資産の評価に関する会計基準は、個別法を、取得原価の異なる棚卸資産を区別して記録し、個々の実際原価によって期末の価額を算定する方法だと定めています。個別性が強い棚卸資産の評価に適する、とも書いています。

同じ型の大量のネジには向きにくく、一点物の家具や宝石には向きやすい、という使い分けです。先入先出法や総平均法は、同じ種類をまとめてみなす方法です。

取得原価そのものを、個体にひもづける

ここでの実際原価は、その個体を手に入れるまでにかかった取得原価です。値札の売価ではありません。

椅子A12万円・椅子B15万円のうち期末はBで在庫15万円とする個別法の図。
図2 残った個体の仕入値が、在庫の金額です。

Aが売れたら12万円、残りはBの15万円

図2は説明用です。Aを12万円、Bを15万円で仕入れ、Aが売れてBが残ったとします。残った棚卸資産は15万円、売れたAの売上原価は12万円です。単位は万円。

平均すれば13.5万円になりますが、個別法では平均しません。

実務ではここに注意

個体を追えないほど数が多い在庫に個別法を使うと、記録が追いつきません。同じ種類をまとめて扱う方法との選択は、性質と事務負担の両方を見ます。12万円と15万円は説明用です。

仕訳で確かめる

椅子A(仕入12万円)が売れたとき(単位:万円)
借方金額貸方金額
売上原価12万円棚卸資産12万円

ここまでのおさらい

個別法は、在庫を一つずつ区別し、それぞれ実際にかかった金額で残す方法です。

出典と確認状況

説明の範囲
日本基準の入門。第9号の個別法。標準原価の差異分析は対象外。

公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み

家具工房の12万円・15万円は説明用。消費税は未判定。

一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。

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