売上・在庫・固定資産 一歩くわしく
先入先出法さきいれさきだしほう
古い仕入から減ったとみなして、残りの金額を決める
ひとことでいうと
先入先出法は、先に仕入れた商品から売れたと考えて、残った商品の金額を決める方法です。
朝の仕入から先に売れた、と数える
氷で締めた鮮魚店が、朝に鮭を8万円で仕入れ、昼に同じ鮭を10万円で仕入れたとします。夕方、まだ1匹分が残っている。先入先出法では、先に仕入れた朝の分から売れたと考え、残ったのは昼の10万円の分だとみなします。実際にどの箱から出したかではなく、数え方の約束です。
古い仕入から減った、とみなす
棚卸資産の評価に関する会計基準は、先入先出法を、最も古く取得されたものから順に払い出され、期末に残るのは最も新しく取得されたものからなる、とみなす方法だと定めています。
現場で本当に古い箱から出していなくても、帳簿ではその約束で売上原価と残りの棚卸資産を分けます。一点ずつ実額を追う個別法や、期間の平均でならす総平均法とは、数え方の約束が違います。
なぜこの約束が要るか
同じ鮭でも、仕入のたびに値段が変わると、残った分をいくらと見るかで利益が変わります。やり方を途中で変えると、去年と比べにくくなります。日本基準では、個別法・先入先出法・平均原価法・売価還元法などから選び、選んだらみだりに変えません。
朝8万円、昼10万円、残ったのは10万円
図2は説明用です。朝8万円、昼10万円で同じ種類を1単位ずつ仕入れ、期末に1単位残ったとします。先入先出法では残った在庫は新しい昼の10万円です。売れた分の原価は朝の8万円になります。
単位は万円。箱のラベルと帳簿が一致している必要はなく、みなした順番がポイントです。
実務ではここに注意
同じ種類で大量に動く在庫向きです。一点物の家具のように個体が違うものは、個別法の方が実態に合います。税務の届出や、実際の出庫順が帳簿と違う場合の扱いは、この数字だけでは決まりません。
仕訳で確かめる
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売上原価 | 8万円 | 棚卸資産 | 8万円 |
ここまでのおさらい
先入先出法は、先に仕入れた分から売れたと考えて、残った在庫の金額を決める方法です。
出典と確認状況
説明の範囲
日本基準の入門。企業会計基準第9号の払出単価の求め方。税務の届出、実際の物流との一致は対象外。
- ASBJ:企業会計基準第9号 棚卸資産の評価に関する会計基準第6-2項(2):先入先出法。最も古く取得されたものから順次払出しが行われ、期末棚卸資産は最も新しく取得されたものからなるとみなす。
公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み
鮮魚店の8万円・10万円は説明用。消費税・税務上の評価方法の届出は未判定。
一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。