記録と財務諸表 一歩くわしく
履行義務りこうぎむ
本と講座のように、約束をいくつに分けるか
ひとことでいうと
履行義務は、お客さんに何を渡すと約束したかを、会計で数える単位です。
本と講座は、別々の約束かもしれない
出版社が、教材本と3か月のオンライン講座をセットで売ります。本は今日渡せて、講座はこれから続きます。会計では、このセットを一つの約束と見るか、二つの約束と見るかを先に決めます。
約束を識別する
履行義務とは、顧客との契約で、別個の財またはサービスを顧客に移転する約束です。契約の開始日に、約束した財またはサービスを評価し、それぞれを履行義務として識別します。
「お客さん」は基準の「顧客」、「渡す」は支配の移転の入口です。正式には、資産に対する支配が顧客に移ったときに義務を果たします。
分けたあと、金額を振り分ける
識別した履行義務に、取引価格を独立販売価格の比率で振り分けます。図2ではセット9万円、本だけなら6万円、講座だけなら4万円の説明用です。比率は6:4なので、本5.4万円、講座3.6万円です。
本を渡した日に5.4万円、講座は3か月で月1.2万円ずつ、という流れになります。入金が先でも、まだ渡していない講座分は契約負債です。
実務ではここに注意
セットだから一つの売上、ではありません。一方、あまりに細かく分けると、実態とずれます。別個かどうかの判定の細部は適用指針によります。
6万円・4万円・9万円は説明用です。
仕訳で確かめる
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 契約負債 | 5.4 | 売上 | 5.4 |
ここまでのおさらい
履行義務は、お客さんへの約束を数える単位です。セットでも、分けることがあります。
出典と確認状況
説明の範囲
第29号の履行義務の識別の入門。一連の別個の財・サービスの単一義務、契約変更は対象外。
- ASBJ:企業会計基準第29号第7項:定義。第32項:取引開始日に識別。第35項:支配の移転により充足。第17項:5ステップの2番目。
公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み
別個の財またはサービスの要件(第34項)の当てはめ、一連のサービスを単一義務とする場合は未判定。
一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。