資産とその価値 一歩くわしく
契約資産けいやくしさん
売上にはしたけれど、仕事の条件が残っていて、まだ請求できない分
ひとことでいうと
契約資産は、すでに売上にした仕事の代金のうち、追加の作業などの条件が残っていて、まだ請求できない分です。
1か月分の清掃は終わった。でも請求はまだ
清掃会社が、事務所を2か月間、毎日掃除する契約を結びました。代金は合計8万円で、2か月分の清掃を終えてから請求する約束です。この例では、清掃した分ずつ売上になる条件を満たしているとします。1か月分の売上4万円に対して、まだ請求できない分が契約資産です。
売掛金との違い
売掛金は、代金を受け取るために追加の仕事などをする必要がなく、あとは支払いの日を待つだけの権利です。請求書をまだ送っていないだけなら、それだけで契約資産になるわけではありません。
契約資産は、すでに売上にした仕事の代金でも、受け取るための条件が残っている分です。この例では、残り1か月の清掃も終える必要があるので、最初の4万円はまだ売掛金にしません。
収益認識の結果として増える
「作業が進んだら何でも売上」ではありません。この例の清掃は、お客さんが毎日の清掃の効果をそのつど受けるため、清掃した分ずつ売上を記録する取引とします。これが収益認識です。仕事を終えた分の売上と、請求できるタイミングがずれることで、契約資産が生まれます。
完成して請求できたら、売掛金へ
毎日の清掃の量は同じで、各月に契約全体の半分ずつを提供するとします。1か月目は契約資産4万円/売上4万円です。2か月目の清掃も終えたら、残りの売上4万円を記録します。全額8万円を請求できるようになるため、契約資産から売掛金8万円へ移します。
8万円が入金されるのは、また別の出来事です。入金時に売掛金が減り、預金が増えます。
実務ではここに注意
反対に、先に代金を受け取ったり支払期限が来たりしたのに、まだ約束した商品やサービスを渡していない場合は「契約負債」になります。同じ契約の契約資産と契約負債は、差し引いた残りで表示します。
表示では、契約資産と債権を他の資産と区分しない場合、残高の注記が必要です。会社によって科目名が違うことがあります。
仕訳で確かめる
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 契約資産 | 4 | 売上 | 4 |
ここまでのおさらい
契約資産は、売上にはしたけれど、追加の仕事などの条件が残っていて、まだ請求できない分です。条件がなくなったら、売掛金などへ移します。
出典と確認状況
説明の範囲
日本基準第29号の契約資産。一定期間で履行義務を充足し、完成時に一括請求する説明用の例。返金、重要な金融要素、契約負債との純額、外貨、貸倒の測定の詳細は対象外。
- ASBJ:企業会計基準第29号 収益認識に関する会計基準第10項:契約資産。第11項:契約負債。第12項:顧客との契約から生じた債権。第77項:対価受領前の収益認識。第79項:表示と注記。第150項:無条件とは時の経過のみ。
公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み
2か月で8万円、各月の清掃量は同じ、全作業終了後に請求する説明用の契約です。期間に応じた収益認識の条件を満たす清掃サービスを想定しています。請求条件や仕事の進み具合の測り方は、実際の契約ごとに確認します。
一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。