記録と財務諸表 一歩くわしく
使用権モデルしようけんもでる
物そのものではなく、使う権利を資産として考える見方
ひとことでいうと
使用権モデルは、物を借りたときに「その物を使える権利」を会社の資産として考える見方です。
カメラを買ったのではなく、2年使う権利を得た
写真館が撮影機材を2年借りても、設備の持ち主は貸す側のまま、という契約が多いです。新しい見方では、「設備という物を資産にした」ではなく、「2年使う権利を資産にした」と考えます。
所有していなくても、使う権利は資産になり得る
会計の資産には、お金や自分で買った物だけでなく、仕事に役立つ権利も含まれます。借りたカメラを契約した2年間使えることも、その一つです。
新リース会計基準では、使用権資産を「借手が原資産をリース期間にわたり使用する権利を表す資産」と定義します。モデルの名前は、この捉え方を指します。
支払い義務も、セットで考える
使う権利を資産にするなら、これから払うリース料の義務も負債になります。権利だけを載せて、支払いを忘れる見方ではありません。金額の出発点は、未払のリース料を今の金額へ直したリース負債です。
旧基準では、載せる借り物と載せない借り物があった
旧基準(企業会計基準第13号)の借手は、ファイナンス・リースならリース資産とリース債務を載せ、オペレーティング・リースなら通常の賃貸借に準じて、借りて使う期間の費用として処理します。支払った日に全額が費用になる、という意味ではありません。
新しい借手は、原則としてこの分かれ道を使わず、使用権モデルで載せます。短期・少額など、載せないことができる例外は残ります。貸手は、ファイナンスとオペレーティングの分類を維持します。
実務ではここに注意
使用権モデルは、すべての賃貸借を同じ仕訳にする、という意味ではありません。リースに該当するか、例外を使うか、所有権が移ると認められるかは、契約ごとに確認します。
国際的な会計基準も使用権モデルを採っていますが、費用の分け方などは基準によって違います。この記事は日本基準の借手の入口です。
ここまでのおさらい
使用権モデルは、借りた物ではなく、使う権利を資産として見る借手の原則です。支払い義務もセットで考えます。
出典と確認状況
説明の範囲
日本基準第34号における借手の使用権モデルの入門。旧第13号の借手分類との対比を扱う。IFRS第16号の条文、米国基準Topic 842、サブリース、リースの識別の詳細は対象外。
- ASBJ:企業会計基準第34号 リースに関する会計基準第10項:使用権資産の定義。第33項:借手はリース負債と使用権資産を計上。BC7・BC11:国際的な使用権モデルと、借手のすべてのリースについて資産・負債を計上する基準開発。BC13付近:貸手は第13号を基本的に踏襲。
- ASBJ:企業会計基準第13号 リース取引に関する会計基準第10項:借手のファイナンス・リースはリース資産及びリース債務。第15項:オペレーティング・リースは通常の賃貸借に準ずる。
公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み
「使用権モデル」は基準の見出し語というより、第34号が採用する借手の考え方の通称です。IFRS第16号との費用配分の差、サブリース、借地契約の個別判断は未判定。
一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。